本学術大会は、特定非営利活動法人愛知県理学療法学会の活動の中核として毎年開催され、理学療法に関する学術活動を通じて理学療法の発展を推進し、人々の保健、医療または福祉の増進に寄与することをめざしております。平成2年3月に第1回大会を立ち上げ、今回は第26回の開催となりますので、既に四半世紀の歴史を持つ学会となります。
医療技術は日進月歩の勢いで進歩し、健康に対する意識の高まり、社会のニーズや期待は広がりをみせています。その中で、理学療法はどうでしょうか?もちろん、理学療法がこれまで保健、医療、福祉の分野でその重要性が広く認識され、人々の健康増進に寄与できる技術へと発展を遂げてきましたことは確かな事実です。しかし一方、理学療法は未だリハビリテーション、介護、福祉などの実践そのものと理解されており、理学療法独自のアイデンティティは未だ不明確なままであるようにも思えます。これでいいのでしょうか?本来、理学療法というものは、生体に何らかの物理的刺激を加え、それによって生ずる生体反応を利用して行う治療行為です。ある程度の歴史を重ねてきた今だからこそ、もう一度理学療法が有する本来の姿に立ち返る志向性が必要なのではないでしょうか。
そこで、今回の学術大会のテーマを「理学療法の本質と未来予想図」と致しました。本学術大会では、理学療法に対する世間の評価が、たとえそれなりに高いものであったとしても、それに甘んずることなく、今こそ理学療法の原点を再考し、理学療法の本質を見直すことが必要と強く認識し、本学術集会がこれから先の理学療法開発や更なる展開に寄与する方向性を追求し、未来予想図を創造する場となればと願うものです。
この学術大会のテーマ「理学療法の本質と未来予想図」に基づき、豊富な講演、シンポジウム、一般演題等を企画しています。特に、特別シンポジウムにおいては、「理学療法の本質と未来予想図 ―理学療法を創造する―」と題し、名古屋市立大学元学長、同名誉教授の西野仁雄先生および名古屋大学医学部元教授の辻井洋一郎先生をお招きし、ご講演ならびに討論の機会とさせて頂きます。さらに、「理学療法の国際化と未来予想図」、「理学療法新規分野の未来予想図 〜保険点数化の実現に向けて〜」、「神経系理学療法の未来予想図 〜基礎から臨床へのトランスレーション〜」と題した3つのシンポジウム、また、特別企画として「理学療法と障がい者スポーツの未来予想図 〜リオから東京へ〜」と題した講演を企画致しました。
また、本学会の会員による学術発表も充実させ、特に若手の理学療法士が積極的に臨床や研究活動に取り組む土壌を作り、次世代の理学療法の更なる活性化を支援したいと考え、若手発表者を対象とした「学術大会新人賞」の表彰を実施することを考えております。有意義な学術活動の場として、盛沢山の企画で臨みたいと考えております。会員の皆様には積極的なご参加をお願い申し上げる次第です。どうぞよろしくお願い致します。
平成28年9月吉日