会長挨拶
「腰痛の真理追求と明るい未来へ」
第26回日本腰痛学会 会長 松山幸弘(浜松医科大学整形外科 教授) |
日本腰痛学会の開設は平成5年4月8日に遡ります。平成2〜6年に中央労働災害防止協会内に腰痛の予防対策に関する調査研究委員会が設置され、予防対策指針作成のための活動が行われました。この会議の中で、整形外科領域からも労働の場において多発する腰痛の問題に対する介入が必要であることが討論されました。平成4年9月、第41回東日本臨床整形外科学会で発起人会が開かれ、平成5年4月8日には日本整形外科学会学術総会の場を借りて日本腰痛研究会が発会しました。第1回は平成5年11月13日に神戸労災病院の栗原章 会長の元、「公衆衛生学の分野からの参加、腰痛の診断・治療および予防の確立」をテーマに研究会として発足しました。
その後、第2回は桜井実 会長(東北大学整形外科)、第3回 鈴木勝己 会長(産業医大整形外科)へと引き継がれ、第8回は白井康正 会長(日本医大整形外科)のもと学会として運営されました。第13回学会では、菊地臣一 会長が「医師、理学療法士、そして腰痛に携わるすべての医療従事者が議論し、連携して多面的・集学的アプローチの上で腰痛診療の質的向上に邁進する」をテーマとして開催されました。12年前に、すでに菊地会長によって腰痛治療に対する集学的治療の重要性が提起されていたのです。15回には米延策雄 会長が「腰痛を科学する」ことの必要性、そして第16回、野原裕 会長「EBMと経験の融合」と継続し、腰痛の病態生理、新しいモダリティーを駆使しての可視化、それを基にした集学的治療学の確立へ向け努力と進歩を重ねてきました。昨年の第25回学会は大川淳会長によって開催され、そのテーマは「腰痛治療のカクシン(革新・核心・確信)」でした。
来年は26回を迎え、「腰痛の真理追求と明るい未来へ」をテーマにさせて頂きました。腰痛の真理追求は25回まで継承してきましたが、いまだに未知の部分が多いと思います。痛みのオリジンが特定できない「非特異的腰痛」の可視化を新しいモダリティーを駆使して目指し、また治療上最も大切な集学的治療体系をスタッフの少ない中でどのように行うのか、さらにはリハビリ領域における筋肉評価客観化やエビデンスに裏付けされたリハビリの実際、そしてエコーを使用したブロック療法の実際も討論する予定です。
是非、浜松の地で「腰痛の真理追求と明るい未来へ」へ向けて熱い討論を繰り広げていただければと願います。