この度、第31回日本口腔咽頭学会総会・学術講演会を担当させていただきます。また、吉原俊雄理事長をはじめ、学会役員の皆様ならびに会員の皆様に深く感謝申し上げます。
名古屋での開催は第26回にて藤田保健衛生大学の内藤健晴教授、第20回にて名古屋市立大学の村上信五教授、そして第13回には当院である藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院の西村忠郎元教授が行われてきた歴史があります。数々の立派な諸先輩がこの名古屋の地で学会をされてきただけに私も身が引き締まる思いであります。
口腔・咽頭学会領域は耳鼻咽喉科の中でも、いろいろな部分が絡み合い、それらがハーモニーを奏でながら呼吸・消化という身体の生命の根幹の入り口を成す役割を担っています。そしてその中に嚥下・咀嚼・味覚などが絡み合い一つの交響楽団のような形態をなしています。
その中で、専門医講習としては医療倫理として、大分大学名誉教授の中野重行先生に「プラセボの使用に関する倫理的なジレンマ」を、感染対策として、ヨナハ総合病院院長の鈴木賢二先生に「口腔咽頭領域における感染症の動向」を講演していただきます。
特別講演では、鈴鹿医療科学大学の長村洋一先生に「おいしい病院食は患者を救う」というタイトルで食療という観点から話をしていただきます。
海外招聘講演としましては、成人の睡眠時無呼吸において口蓋垂軟口蓋咽頭形成術を発展させた「Lateral pharyngotomy」という術式を確立したsleep surgeryの第一人者であるMichel Burihan Cahali教授(ブラジル)について講演していただきます。
他、睡眠に関してはイブニングセミナーにて徳永呼吸睡眠クリニック院長の徳永 豊先生に睡眠時無呼吸においてCPAPの正しい使い方や簡易検査の見方の話をしていただきます。
シンポジウムでは、「口腔咽頭の粘膜免疫」、「嚥下においての新たな治療法展開」、「睡眠時無呼吸の手術治療」、「HPV関連中咽頭癌」という領域に絞らせていただきました。各分野、今の最新のTopicsの話が聞けるものと期待しています。
教育セミナーではIgG4と嗅覚障害、耳下腺腫瘍の手術の要点、輪状甲状靭帯切開術とminitrachiostomy、内視鏡下唾石摘出術、口蓋裂児における鼻咽頭閉鎖術、咽頭拡大術における新しい術式である「barded suture technique」 と新しい概念や、これから習得していただきたい術式や考えを中心に選ばせていただきました。
さらにパネルデイスカッションとしては、昨年の教育セミナー「上咽頭擦過療法」をさらに拡大させ実際の臨床応用への広がりについて、また全国に方言があるように、各地でさまざまな工夫により独自の発展をとげた「口蓋扁桃摘出術」を「口蓋扁桃摘出術ご当地自慢」と称して口蓋扁桃摘出術の動画にて供覧しようと計画しています。
9月の名古屋はまだ残暑がのこりますが、近くには京都二条城の御殿にも匹敵する名古屋城本丸御殿もできましたし、金シャチ横丁という城下町も新設されました。ぜひ、名古屋に来ていただき新しい口腔咽頭や名古屋の息吹を感じ取っていただければと思います。
教室員一同、皆様のご参加を心よりお待ち申しております。第31回日本口腔・咽頭科学会総会ならびに学術講演会 会長 中田 誠一 (藤田保健衛生大学 坂文種報德會病院 耳鼻咽喉科学教室) |