会長:水野順一 新百合ヶ丘総合病院低侵襲脊髄手術センター 総合南東北病院執行本部長 |
本研究会は昨年までは内視鏡脊髄神経外科研究会として5年にわたり開催されてきており、今年から名称を低侵襲・内視鏡脊髄神経外科研究会として開催することになりました。今回研究会の名称を変更した理由は2つあり、1つは内視鏡手術とその他の低侵襲手術の有効性や安全性を比較検討することで脊椎内視鏡手術の適応をより明確にすることと、もう1つは低侵襲手術を行っている多くの先生達に一堂に集まっていただき内視鏡手術に触れていただくことにあります。
脊椎脊髄外科はよく機能外科と言われ、正常な組織の手術侵襲を最小限に抑えることで術後の疼痛出現を回避し術前の運動知覚障害の改善をめざすものです。脳神経外科領域において脊髄外科は最も重要な疾患群であり、研修医時代から研鑽してきた顕微鏡手術手技を使うことで大変良い成績を出してきました。時代の流れとともに手術方法も変遷してきて、現在では広範囲固定術を含む脊椎矯正を伴った神経除圧術から内視鏡手術まで多様化してまいりました。これらの手術方法の相違に関わらず低侵襲手術は脊髄手術の基本となり、本研究会ではエキスパートや第一線で患者さんの治療に関わっている先生方の考え方、留意点などをお聞きする機会を提供しています。
内視鏡手術は今や外科手術では日常的な手術手技であり、脳神経外科の分野においてもその有用性は認められています。脊椎手術においてもすでに整形外科分野では30名前後の認定医が輩出され、本法は急速に広がりを見せてきています。しかしながら群馬大学医学部における内視鏡手術による患者死亡事故に代表されるように、その安全性が強く求められていることも事実です。本研究会は日本脊髄外科学会とも連携して、ハンズオンコース、教育コースも取り入れ、安全で効果的な脊椎脊髄手術が可能になることを目指します。内視鏡脊髄手術の全国統計も毎年公表し、有用性を検証することもいたします。
内視鏡手術を含む低侵襲手術は“組織の可能な限りの温存を目的とした手術”を意味し、これからの先生方には必須の手術手技となっていきます。今回はゲストに慶應大学の松本守雄先生、出沢PEDクリニックの出沢明先生、徳島大学の西良浩一先生などをお招きして、低侵襲、内視鏡手術習得のための講演、指導をお願いすることになっています。また新百合ヶ丘総合病院婦人科部長浅田弘法先生、泌尿器科部長吉岡邦彦先生に他科での低侵襲、内視鏡、ロボット手術の現状を話していただき、低侵襲手術の外科全般における流れを学ぶ機会も設けました。ぜひ多くの脊髄手術に興味のある脳神経外科の先生が参加され、実りある会になるようご協力をお願いいたします。