この度「第30回日本小児リウマチ学会学術集会」を2021年10月15日(金)~17日(日)の3日間に渡って東京、渋谷で開催させて頂きます。歴史的なCOVID-19のパンデミックは学術集会のあり方にも変革をもたらしました。2年ぶりの本学術集会の開催となりますが、新たな形式でみなさまをお迎えしたいと考えています。
学術集会のテーマは当講座の山中寿名誉教授が2019年に開催いたしました「第63回日本リウマチ学会総会・学術集会」の「夢を語ろう」を継いで「ゆめを語ろう」といたしました。小児リウマチ学の医療の進歩によって、寛解やめざす希望が夢であった時代は現実に達成可能な時代へと変化を遂げてきました。しかし、これからの小児リウマチ性疾患の患者さんや医療者が、もっと追求したいこと、解決・達成せねばならない問題点は多く残されています。むしろ、医学の進歩により視界が開けた分だけ、新たな課題が見えるようになったとも言えます。
過去20年間のリウマチ学の進歩は、Evidence Based Medicineの進歩と同調したものです。エビデンスの重要性が認識されればされるほど、医学の現実的な目標はより良質なエビデンスを構築することになっています。丁寧な診療と、勉学、病態を追求する思考がないとエビデンスの発想や研究はうまれませんが、小児リウマチ性疾患は希少疾患であることから、質の高いものにつくりあげることが容易ではありません。世界水準を意識した実績をあげ、患者さんに何をどのように還元できるか、是非「ゆめ」を語っていただきたいと思います。
かつて、“小児リウマチ医はその子の5年後、10年後を考えた医療を実践するんだ”と教わってきました。人生100年と言われ、小児発症慢性疾患の成人への移行支援活動が盛んになりつつある今日、おじいちゃん、おばあちゃんになる未来も描かないといけないのかもしれません。
今回、30回の節目を迎えた本学術集会においても、みなさまに新たな「ゆめ」を抱いていただけるよう、診療・教育・研究のバランスを考慮したプログラムを企画いたしました。ハイブリッド形式ですので、会場参加が難しい方にも視聴いただけ、オンデマンドの企画についてはライブ参加では時間の制約のある方や復習したい方にも、自身のスタイルにあわせ気軽にご参加いただけることを期待しております。
本学会のめざす「ゆめ」を可視化し、共有できる学術集会となるよう誠心誠意、努力して参ります。
会 長 宮前 多佳子
東京女子医科大学病院膠原病リウマチ痛風センター
小児リウマチ科