2014年12月12日(金)〜14日(日) ホテル阪急エキスポパークにて 日本研究皮膚科学会 第39回年次学術大会・総会を開催致します。

日本研究皮膚科学会 第39回年次学術大会・総会 The 39th Annual Meeting of the Japanese Society for Investigative Dermatology

会頭挨拶

会頭 片山 一朗 (大阪大学) 会頭
片山 一朗 (大阪大学)

 このたび2014年度の日本研究皮膚科学会 第39回年次学術大会・総会を12月12日から14日まで大阪のホテル阪急エキスポパークで開催させていただきます。

 大会テーマは「Global Tuning of Innovative Dermatology」とし、2日目夜と最終日は審良 静夫 大阪大学教授の特別講演や阪大の先生方を中心としたInnovation forumを予定しております。次の10年のさらなる発展のためにも、本大会を基軸に研究を発展させ、新しい皮膚科学の情報を日本のみならず、世界に発信させていく必要があります。さて、日本の医療改革は20世紀末にスタートした国立大学の法人化と大学院大学への移行に端を発し、2004年に開始されたスーパーローテートシステムの導入、専門医認定機構主導の新たな専門医制度の開始やTPPの締結による医療での規制緩和など米国の医療に追従する形で進められてきました。そして今年からは大学などの研究機関には日本版NIH方式として、厳しいグラント申請が課せられ、パスした研究のみに予算が重点配分されると聞いております。昨年米国のいくつかの大学を訪問したおり、研究者に聞いた話では、Publish or Perishの傾向はさらに進み、高名な皮膚科の教授もグラントが獲得できなければポジションを維持できなくなりつつあるそうです。このような現状を考えると日本でも今後、大学で皮膚科の看板をあげ続けていくためには皮膚という臓器に特化した高度で新しい発想の研究が要求されるかと思いますし、結果として創薬につながり、他科の医療に貢献できる研究が重用視されていくかと思います。逆に行きすぎた基礎研究は臨床科としての皮膚科の領域を狭くする危険性と隣り合わせです。このようなジレンマを打破するためには、先に述べた臨床医としての豊かな経験や患者のニーズに基づいた視点からのInnovativeな研究テーマを提案できれば、皮膚という臓器の特性を生かしたすばらしい研究や創薬開発、新しい生命論の提示なども可能になっていくかと思います。

 この10年間皮膚科はどちらかというとPassiveな環境下でNegativeな議論を繰り返してきたのではないかと反省しております。今後はActiveな態度で積極的に研究、臨床に取り組んでいける環境を提供し、より普遍性のある研究、高度な医療、創薬開発を提供できるPositive thinkingの皮膚科医を一人でも多く育てることが本学会の大きなミッションと考えております。

 昨年の免疫学会ではSurface Barriologyという、聞き慣れない、あらたな領域のシンポジウムが企画されていました。ここ数年、皮膚・粘膜の自然免疫システムの研究が進み、消化管、気道、皮膚など外界と接する臓器に共通する新たな研究テーマ、創薬基盤が整いつつありますが、残念ながら欧米も含め、皮膚科医がこの領域の研究に積極的に参画しているとは思えません。このほかにも遺伝性疾患、悪性腫瘍、アレルギー・自己免疫疾患など臨床医学に共通する研究テーマや紫外線にたいする生体反応、かゆみの認知機能、新しい機器、方法論を用いた皮膚の生理機能解析など皮膚科医しか関与できない重要な研究テーマもたくさんあり、最終日にアジア・オセアニアフォーラムとしてプログラムを組ませて頂きました。2014年が皮膚科学にとってInnovation 元年になることを願う次第です。

 会期中は、丁度イルミナイトと銘打った太陽の塔などのライトアップがご覧になれるかと思います。あらためて多くの先生方のご参加をお待ちしております。

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