会長挨拶

 このたび第62回日本音声言語医学会学術講演会を平成29年10月5日~6日に仙台国際センターにおいて開催させていただくことになりました。この光栄な機会を東北大学に賜りましたことに、大森孝一理事長をはじめ役員、会員の皆さまに感謝を申し上げます。仙台での開催は昭和63年10月に永渕正昭会長が担当されてから約30年ぶりになります。会期の10月初旬は錦秋にはまだ早いものの、初秋の過ごしやすい季節でございます。是非多くの皆さまにご参集いただき、音声言語領域の活発なご討議と交流の場となりますよう、準備を進めております。

 プログラムの一部を紹介します。第62回学会では「基礎を学び、臨床に活かす」を主題とし、本学会の主に担当する音声、発話、聴覚の広い領域にわたり、多職種の演者による教育的で臨床の発展に資するセッションの企画に努めました。初日の二つのシンポジウムでは吃音診療の新しい展開と、音声障害の治療のピットフォールについてそれぞれの領域の臨床現場の第一線で活躍されているエキスパートの先生方から話題提供をしていただきます。二日目午後のパネルディスカッションでは小児難聴の診療に焦点をあて、診断から療育まで専門性の高い治療担当者の方々から、現状の問題点と今後の発展性について議論を深めます。また、初日お昼前の特別講演では国立臺灣大学のHsiao教授に音声生成の原理と音声障害への対応について解説していただきます。

 昼食をかねた4題の学術セミナーでは、共催企業様の配慮をいただき、学術的な内容を多く取り入れました。とくにフロリダ大学の染谷博士には加齢性難聴の予防について、ミュンヘン大学のミューラー博士には人工内耳治療の今後の展開について、それぞれ研究・臨床における最先端の内容をわかりやすく講演していただくように依頼をしています。

 3題の教育セミナーでは、音声障害診療、口腔・歯の機能、地域での嚥下診療をテーマとして、若手からベテランの先生方まで、多くの聴講者の方々に明日からの臨床や教育にプラスになる実践的な話題を企画いたしました。多くの方々のご聴講を期待しています。

 一般演題について、締め切りの延長や各教育施設からのご配慮により、150題あまりの演題を申し込みいただくことが出来ました。会場は分かれますが、全員に口演していただくことにいたしました。抄録を拝見しますと魅力的な話題が多くならんでいます。若手の先生方の発表も多く、活発なご討論と教育的なご指導をお願い申し上げます。

 会期後の土曜日には、発話障害ならびに自閉症スペクトラムへのアプローチに関する、二つのポストコングレスセミナーを東北大学医学部の構内で実施します。両セミナーともに基礎から症例提示にわたる充実した内容を企画しています。

 本学会は会員構成も多くの職種にわたり、様々な視点で音声言語領域の課題に取り組めることが魅力のひとつと考えられます。今回の学会が参加者の皆さまにとって、新しい知識の吸収、研究や臨床における創案の契機になるとともに、多職種の会員間の交流の場になりますと大変嬉しく存じます。多くの皆さまの御参加をお願い申し上げます。

第62回日本音声言語医学会総会・学術講演会

会長

香取 幸夫(東北大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科 )

写真提供:宮城県観光局

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