会頭挨拶
このたび第27回学術総会・学術集会会頭を拝命致しました京都大学大学院医学研究科発達小児科学の西小森隆太でございます。私が当学会の前身である日本小児リウマチ研究会に初めて参加したのは、信州大学小児科小宮山淳先生が軽井沢で主催された2002年の第12回集会でした。ベテランの先生方が会場の前方に着席され、白熱した議論が交わされていた事を大変印象深く覚えております。この会では私が自己炎症性疾患と関わる契機となったクリオピリン関連周期熱症候群との出会いもありました。当時の研究会は、土曜日の昼から日曜の昼まで一つの会場で全症例の発表を聞け、様々な意見をうかがえる貴重な研究会でした。あれから14年、研究会は日本小児リウマチ学会となり、演題数も増え、会場は2つとなりました。様々な生物学的製剤の登場により若年性特発性関節炎患者のQOLは向上し、SLEや若年性皮膚筋炎などに対する標準的治療が確立される等、小児リウマチ分野の発展にはめざましいものがあります。
しかし、進歩した小児リウマチ学に於いても未解決の問題はたくさん残っております。「治りにくい病気にこれからどう取り組んでいくのか?」という想いから、今回の小児リウマチ学会総会のテーマを“難治性疾患の克服をめざして”とさせていただきました。学会のポスターは、私が診療しているイラストが大変上手な患者さんに作成して頂きました。このイラストは、「いつもたくさんの人に支えてもらい元気に過ごせているので、他の患者さん、お医者さん、研究してくれる先生、製薬会社の人、みんなが笑顔で元気に過ごしてくれたら嬉しいな」という思いが込められています。なかなか診断がつかず、診断後も有効な治療を提供するまでに長い時間が必要であった患者さんです。このような患者さんに対して、ひとりでも多く、早期診断と適切な治療の提供を目指したいという思いを胸に、本学会の会頭をつとめさせていただきます。
京都での開催は、大阪医大の村田卓士先生が主催された第19回から8年ぶりであり、会場は第19回と同じ京都リサーチパークです。特別講演には、細胞内核酸認識機構研究の第1人者である京都大学ウイルス研究所 遺伝子動態研究部門 分子遺伝学研究分野の藤田尚志先生、リウマチ膠原病学に於ける自己抗体研究の権威である京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学の三森経世先生をお招きしました。時期的には紅葉にはまだ早いですが、秋の京都を満喫していただけたらと思います。一年間準備をきっちり進め、小児リウマチ学会の伝統である症例を大切にする姿勢を保ちつつ、しっかり学び、しっかり遊ぶ、学術集会にしたいと考えております。皆様にはふるってご参加いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
第27回日本小児リウマチ学会総会・学術集会 会頭
京都大学大学院医学研究科発達小児科学
西小森隆太